第2回アペンハヴァイ展

開催日 1月22日〜2月6日
カザマナオミ個展『アペンハヴァイ』

Camp&Go White Wall Room にカザマナオミの『アペンハヴァイ』が帰ってきます。
昨年、ニセコで開催した『アペンハヴァイ』は、その後カザマナオミの 取りともに石川、宮崎と旅し、再びここニセコへもどってきます。

偶然性を積極的にとりいれるカザマナオミの代表的な作品は、彼の生き方や取り巻く世界のありように最も同調する技法である「ブランクシルクスクリーン」という図柄のない無地のままのスクリーンを使い、作家の作為を極力排除することでインクとスクリーン、そしてスクレーパーによる一期一会の痕跡として私たちに提示されます。

今回の『アペンハヴァイ』展では、新作を約15点展示するとともに、会期中の各週末には、カザマナオミの世界観を立体的にとらえるためのさまざまなイベントを企画しています。イベントは、古着などをアップサイクルするためにスクリーンプリントを行う「ライブシルク」、カザマナオミと本展キュレーターの豊嶋秀樹によるトーク、そしてカザマナオミが制作したドキュメンタリー映像『美は路上にあり』の上映会を予定しています。

『アペンハヴァイ』という、耳慣れない言葉を手がかりにカザマナオミの世界に触れていただけたらと思います。

なお、新型コロナウィルス感染症の拡大状況の対応で、入場制限等を行う場合もございますのであらかじめご理解いただきますようお願いいたします。

豊嶋秀樹 Camp&Go キュレーター

カザマナオミ個展『アペンハヴァイ』展

会場:Camp&Go White Wall Room
会期:2022年1月22日(土)- 2月6日(日)
営業時間: 12:00 – 19:00
定休日:木曜日
入場:無料
お問い合わせ:0136-55-5161(代表SPROUT)/お問い合わせフォーム

【会期中のイベント】
1月29日(土) カザマナオミ 豊嶋秀樹 トークイベント
2月5日(土) 『美は路上にあり』上映会 カザマナオミによるアフタートーク
※会期中のイベントや最新情報は、Camp&GoのウェブサイトやInstagram(campandgo.niseko)などでお知らせいたします。


アペンハヴァイ
A Pen Have I.

私はペンを持っている
っと思っていたら、実は
ペンが私を持っていた!

大自然の自由な振るまいの中に身を置いたとき。
大量の水のうねりの力を受け乗ったとき。
何度も図柄を繰り返しプリントして、その図柄自体が不要であると気付いた時。

ペンが私を持っていたのだ!
とそれを知ったのです。

それとは
オレ様がペンを操り自由にその権力を駆使出来るという勘違いではなく、
もうすでに全てはあり、ただ自然に委ねるということ。

正に自ずとそう然る と書いて自然。

そんな気付きをニセコにて共有させていただけたら
これ幸いです。

カザマナオミ


カザマナオミ プロフィール
アーティスト 鎌倉生まれ
1998年、カリフォルニア州、サンディエゴにてストリートアートの先駆者 OBEY、シェパード・フェアリーとの出会いからシルクスクリーンプリントを学ぶ。
彼のアートを通じて社会へアプローチをする方法に興味を抱き制作を始め、帰国後、ストリートにて作家活動が始まる。
同時期に東京、中目黒にギャラリー 『大図実験 』を友人とオープンさせ、ギャラリーに集うアーティスト達との交流を促進、国内外のアーティストへの製作、展示空間の提供を行い、ストリートの延長上を表現する偏った文化交流発展の場とする。
そのほか、NY と東京をベースに活動するアーティストペインティングコラボレイティブ,・バーンストーマーズへの参加、路上でのライブスクリーンプリント活動『BIG O project』にてオーガニックコットンの認知度向上や古着などのアップサイクルを促すプロジェクトを全国各地で開催されるイベントで行う。
近年は、具発的に起こるハプニングの重要性に気づき、図柄のない無地のブランクシルクスクリーンプリントを使用した表現に重きを置くようになる。

<書籍>
「Von Azain!」 2005 自主出版本
「DYZ」 2012 Bueno Books
<参考ウェブサイト/カザマナオミインタビュー> https://paddler-shonan.com/paddler/mr-naomi-kazama/


<カザマナオミの世界>

「意図せずに成り立つ全ての存在がおもしろく、それはまるですぐに波にかき消される砂浜に残された足跡のように美しい。」

――― カザマナオミ

ブランクシルクスクリーンという図柄のない無地のままのスクリーンを使い、偶然性を積極的に捉えたカザマナオミの代表的な作品は、作家の作為を極力排除することでインクとスクリーン、そしてスクレーパーによる一期一会の痕跡として私たちに提示される。
作品における無意識性といえばジャクソン・ポロックのドリッピングの技法や抽象表現主義の作家の特権のように思えるが、カザマナオミの芸術においては、そういった技法や主義の枠からも解き放たれた、作家の生き方や取り巻く世界のあり方に最も同調するものとして取り入れられる。その意味において、カザマナオミの芸術における無意識性は、むしろ陶芸や染色のような、より生活や営みの側にある工芸的な偶然性に近いところにあるのかもしれない。
「ブランクシルクスクリーンは、液体であるインクに『自由な態度』をとることを可能にし、そこから生まれる色彩構成と、有機的なグラフィックとの合成による抽象的な表現に重要な役割を果たしている。」
ブランクシルクスクリーンについてカザマナオミはこう説明する。
こうして非作為的な方法によって立ち現れる形象は、作家自身が圧倒されつつも魅了される自然と生物の営みを映し出す。
しかし、様々な色彩の表情をもつ作品でさえ、それはあくまでも表面的な話だと作家は語る。そこから発せられる真のメッセージは、カザマナオミを含む私たち自身の枠を取り外し、混沌とした森羅万象のように「自由な態度」をとってもらいたいということである。
カザマナオミの作品はこれからも、作家が日常的に取り組んでいるヨガやサーフィンなどからも大きな影響を受けながら、あるがままに全てを受け入れ、このひとときの存在としてカザマ自身の移り変わりとともにあるのだろう。

Camp&Go キュレーター 豊嶋秀樹