いつもとなりにはコーヒーがあった

朝ごはんの時、仕事中、友達とカフェでおしゃべりをする時…
生活の中のあらゆる場面で登場するコーヒーは私たちの暮らしの「名脇役」ともいえるでしょう。
さまざまな人の「となりのコーヒー」にまつわるストーリーを聞くシリーズ。
まずはSPROUTのスタッフから、好みのコーヒーと合わせてご紹介します。

#1 NISEKO HAUTE ROUTE -SPROUT original blend coffee-Roaster YOSHI : 旅・UL・コーヒー

YOSHI Roaster

「コーヒーとの出会いはハッキリしてるんです。でき過ぎかもしれないけどシアトルです。」
それまでも子供の時から両親や周囲の大人が飲んでいたり、喫茶店に連れて行かれたりしてコーヒーには触れてはいたのですが、自分の中に”コーヒー”が入ってきた瞬間があります。
20才の時にアラスカに行って経由地のシアトルでカフェラテを飲みました。それがもう衝撃で。コーヒーは苦くてキューっとなるような酸っぱい飲み物だと思っていましたが、そこで飲んだコーヒーはチョコレートのようにコクがあって甘さが広がってゴクゴク飲めてしまう。それから日本でも「カフェ」っていうものができてきて、理由もなく日課として通うようになっていきました。
ほんわか香る匂いが過去の思い出を連想させるように、美味しいコーヒーを飲むとアラスカやアメリカの旅の思い出や風景が頭の中に広がっていきました。
僕にとって”美味しいコーヒー”とは思い出すものでもあり、記憶や思い出のスイッチでもあるのです。そしてその思い出された記憶はいつも今の自分に力を与えてくれています。

自分の中で何かが変わるきっかけとなる旅ってあると思うんです。僕にとってそれは「NISEKO HAUTE ROUTE」。
日本海から倶知安駅前のSPROUTまでを1本の線でつなぐ縦走路。雷電山、幌尻岳、岩内岳、目国内岳、前目国岳、白樺山、シャクナゲ岳、チセヌプリ、ニトヌプリ、イワオヌプリ、アンヌプリ、ワイスホルン、旭ヶ丘と12の山と1つの丘を越えていきます。季節を問わずに歩きますが、毎年4月に仲間とスキーで縦走することが恒例となっています。
初めは60Lのザックに20kg以上の荷物を背負って挑みました。登りはもう必死で、スキーでの滑走も気持ち良くなんて滑れないような状況でした。そんな中、メンバーの一人がUL(ウルトラライト)を実践していて僕の半分くらいの荷物でした。僕がよろよろと登っていく横で、何度も登って滑ってを笑顔で繰り返している。
「快適さを求めて荷物を重くするよりも、軽い荷物の方が山での遊び自体を楽しめるでしょ」って実際に見せながら話してくれました。
「それは山だけじゃなくて、仕事も生活もUL化したら暮らしももっともっと楽しくなるよ。」

仕事も生活もUL化

当時の僕はいろんな仕事をしていたり、家庭では子供も産まれ、今までやったことのなかった家事も増え、パンク寸前でした。そんな時に山でのULの考え方とか方法を、生活にも当てはめて考えることができたのがとても大きいです。ULっていうのはただ削る、減らすというのではなくて、今あるものをどう工夫していくか、軽くなった分どう楽しむかということも一つの考え方としてあると思います。
“さぼってる”とか”手を抜いてる”っていう気がしてできなかった仕事の数を減らすということ。思い切ってやってみたら、全てがうまく回り出した気がします。数が減った分、ひとつひとつの仕事を丁寧に楽しく取り組めるようになりました。山にも遊びに行けるようになりました。家族との時間もできました。そしたら仕事と遊びと家族との時間の境目がなくなりました。ULを取り入れて山で過ごす時間が楽しくなったように、今ある仕事、遊び、家族を工夫して繋げていくことでひとつひとつに向き合うことができ、今の生活自体が楽しくなりました。

仕事の数を減らすということ

SPROUTが焙煎をはじめてオリジナルのブレンドコーヒーを作ろうとなった時に、最初に思い浮かんだのが「NISEKO HAUTE ROUTE」というブレンドコーヒーです。
苦味・酸味・甘味とバランスの良さを心がけてブレンドしています。「苦さも酸っぱさも甘さもありながら、また飲みたいなぁ」と思うコーヒーです。
僕らの旅のようにほろ苦さもありながら、仲間たちとの甘酸っぱい青春感もあり、めちゃくちゃ気持ちいい斜面を滑る奥深い甘さもあります。そして毎年思うんです。「また行きたいなぁ」と。
僕はNISEKO HAUTE ROUTEを飲んだ時は、仲間との楽しかった時間を思い出します。

Photo : Conor Acutt / Text : Yoshi